ランスへの旅
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
作品について
IL VIAGGIO A REIMS(ランスへの旅)
シャルル10世の戴冠式に向かう途中、さまざまな背景を持つ旅行者たちが地方の温泉ホテルに足止めされてしまいます。彼らのトラブルは、観客にとっては楽しみへと変わり、私たちは恋の駆け引きや嫉妬、情熱や虚栄心、高い理想や風変わりな癖に満ちた愉快な人物たちの行進へと誘われます。ロッシーニは、オペラにも登場するこの歴史的戴冠式の祝典のために《ランスへの旅》を作曲しました。この豪華な作品には、なんと10もの難易度の高い主役が登場し、パリのために書かれたロッシーニ最初のオペラでもあります。さらに彼の母語で書かれた最後のオペラでもあり、ヨーロッパ各地から集まる登場人物を通じて国家的ステレオタイプを愉快にからかい、イタリア・オペラの慣習を自虐的にパロディ化しています。筋書きらしい筋書きはほとんどありませんが、バリー・コスキーの演出はフェイドー風の機知と活気、そして官能的なスラップスティックをたっぷり盛り込み、ロッシーニの電撃的な音楽と相まって、笑いと狂気の渦を約束してくれます。
あらすじ
時と場所:1825年のフランス、プロンビエールにあるホテル「黄金の百合」
全1幕
第1場
プロンビエールにあるホテル「黄金の百合」では、朝から国王の戴冠式に向かう人々の世話に女将のコルテーゼ夫人や女中頭のマッダレーナ、ボーイ長のアントニオもおおわらわである。ホテルの医者ドン・プルデンツィオも、食事の献立まで気を使う熱の入れよう。これも戴冠式を見るために集まった各国の貴族達にホテルの名を売るためである。
第2場
そこへフォルヌヴィル伯爵夫人がやってくる。流行に目が無い彼女は、「今度の戴冠式のために流行の衣装を沢山用意しているけど、まだ届かないの」と小間使いのモデスティーナに催促している。するとそこに夫人の従弟のルィジーノが、「馬車の事故であなたの衣装はだめになった」と告げる。あまりのことに失神する夫人。助けを呼ぶルィジーノの声にドン・プルデンツィオ、トロムボノク男爵もやってくるが、騒ぐだけで役には立たない。そこへモデスティーナが、「帽子だけは無事でした」と流行の帽子が入った箱を持ってくる。それを聞いた夫人は「神様ありがとう!」といって立ち直る。この様子に他の面々はあきれる。
第3場
一同がトロムボノク男爵を残して退場すると、男爵はアントニオを呼び止めてチェック・アウトする時の支払いについて相談する。男爵はこのランスにやってきた人々の中で会計係を任されている。アントニオが去ると男爵はフォルヌヴィル夫人の帽子騒ぎをこの世は「おかしな人間の入った大きな檻」と形容して退場。 男爵の退場後、骨董マニアのドン・プロフォンド、スペインの提督ドン・アルヴァロとイタリアの将軍の未亡人でポーランド出身のメリベーア侯爵夫人、そしてロシアのリーベンスコフ伯爵がやってくる。ドン・アルヴァロとリーベンスコフ伯爵は、メリベーア夫人を巡って恋の火花を散らしている。今日も夫人のエスコートを誰がやるのかでもめている。騒ぎを聞きつけてコルテーゼ夫人もやってくるが、止めようがない。二人のケンカが一触即発の状態になろうとした時、ローマの女流詩人コリンナの奏でる竪琴の美しいアリアが響く。コリンナの「私は望みます、人々の心に同胞愛がゆきわたることを」と歌うと、もめていた一同も心を和ませ、コルテーゼ夫人を残して退場。
第4場
コルテーゼ夫人が従者のジェルソミーノを待っていると、コリンナを密かに愛するイギリスのシドニー卿がたくさんの花束を持って登場。彼は彼女の部屋の前に匿名で花束を送っているが、コリンナに思いを告げられずにいる。今日も花束だけをおいて「どうして彼女を知ってしまったんだろう?」とため息をついている。そこへ、骨董マニアのドン・プロフォンドが現れ、「英国の方、フィンガルの剣とアーサー王の鎧、そしてサクソンのアルフレッド大王の剣はどこで手に入ります?」と卿に聞く。何考えているんだこの男…と思いながら卿が去ろうとすると、骨董マニアはなおも食い下がる。うんざりしたシドニー卿は、「博物館でもさがすんですね」と言って立ち去る。
第5場
コリンナが登場してシドニー卿が送った花を愛でていると、コリンナに目をつけている色男騎士ベルフィオールがやってきて、「あなたは僕の理想の女性」とコリンナに迫る。しかし彼女は「あなたのような人には嘲りと蔑みを引き起こすばかり」といって拒否して退場。ベルフィオールも後を追って出て行く。
第6場
この様子を見ていたドン・プロフォンドは、「ああ面白かったあの色男殿は!」とつぶやき、登場人物達のお宝目録を作る。「スペイン人のお宝は家系図に十字架、ペルー産の大きな真珠。ポーランドのご夫人は色絵付の豪華本。フランスのご夫人はリボンとレース。ドイツの男爵はギリシャ語の論文に楽譜とホルンとトロンボーン。イギリス人は旅行記、中国産のお茶、手形、権利の章典。フランスの騎士殿はリトグラフと絵筆。ロシア人は地図帳と黒テンの毛皮…」と一人で夢中になっている。 そこへフォルヌヴィル夫人が騎士ベルフィオールを探しに来る。彼の行き先を聞かれたドン・プロフォンドは思わず「彼なら詩を読んでました」というと、夫人は、「あの浮気者! 例の女詩人と一緒ね!」と怒り狂う。 そこへドン・アルヴァーロ、リーベンスコフ伯爵、トロムボノク男爵がやってくる。「恐ろしい災難が…」と叫ぶと、騒ぎを聞きつけた他の登場人物達全員が集まってくる。全員で何があったのか尋ねると、男爵は「馬を一頭も確保できない。我々は残念ながらランスに行けません」と言う。
第7場
思わぬ事態に一同騒然となっている所にコルテーゼ夫人が夫の手紙を持ってやってくる。手紙には、「国王様は数日中にパリに戻られ、そこでも戴冠式をする」と書かれている。これを聞いてフォルヌヴィル夫人が、「パリならここから乗合馬車が出ているから安心です。それにパリでは私の屋敷に皆様をご招待します。明日にでも出発しましょう」というと、一同賛成する。「では、お預かりした皆様のお金はどうします?」というトロムボノク男爵にドン・プロフォンドは「大宴会をしまして使いましょう」と言うと、リーベンスコフ伯爵も「その残りは困っている人に」と言い、全員が賛成する。宴会の準備を任されたコルテーゼ夫人は大喜びで準備にかかる。
第8場
一同がメリベーア夫人とリーベンスコフ伯爵、トロムボノク男爵を残して去ると、夫人と伯爵はドン・アルヴァーロを巡って言い争うが、男爵の仲裁で仲直りし、伯爵は夫人に求婚する。
第9場
一方宴会場では、マッダレーナ達が準備に余念が無い。準備が整うと、トロムボノク男爵の乾杯の音頭の後、登場人物達がそれぞれの国の音楽にあわせて新国王とフランス王室を讃えていく。そして最後にコリンナによる即興詩でシャルル10世を讃える中でこの劇の幕が下りる。
プログラムとキャスト
ossia L’ALBERGO DEL GIGLIO D’ORO(黄金の百合の宿)
ドラッマ・ジョコーゾ(1幕、1825年)
リブレット:ルイジ・バロッキ
(マダム・ド・スタールの小説『コリーヌ、またはイタリア』に部分的に基づく)
新制作
キャスト
チェチーリア・バルトリ:コリンナ
マリーナ・ヴィオッティ:メリベア侯爵夫人
メリッサ・プティ:フォレヴィル伯爵夫人
タラ・エロート:マダマ・コルテーゼ
エドガルド・ロチャ:ベルフィオーレ騎士
ドミトリー・コルチャック:リベンスコフ伯爵
イルデブランド・ダルカンジェロ:ロード・シドニー
フロリアン・サンペイ:ドン・プロフォンド
ミーシャ・キリア:トロンボノク男爵
ペーター・ケルナー:ドン・アルヴァロ
ジョヴァンニ・ロメオ:ドン・プルデンツィオ
ヘレナ・ラスカー:マッダレーナ
ロドルフ・ブリアン:ゼフィリーノ
ラファウ・パヌク:アントニオ
ほか多数
クリエイティブチーム
ジャンルカ・カプアーノ:指揮
バリー・コスキー:演出
ルーファス・ディドヴィスズ:美術
ヴィクトリア・ベーア:衣装
フランク・エヴァン:照明
クリスチャン・アルセーニ:ドラマトゥルギー
アンサンブル
モンテカルロ歌劇場合唱団
ステファノ・ヴィスコンティ:合唱指揮
レ・ミュジシアン・デュ・プランス — モナコ
モーツァルトの家
モーツァルトのための劇場、旧ザルツブルク祝祭小劇場はオーストリアのザルツブルクにある劇場。2006年モーツァルト生誕250年を記念して「モーツァルトのための劇場」と改称された。なお日本では モーツァルトの家 とも呼ばれる。1960年に完成した隣接する祝祭大劇場とともに、ザルツブルク音楽祭の主会場である。
1924年ザルツブルクの建築家エドワルト・ヒュッターにより、ザルツブルク宮廷の旧厩舎が改築され、最初の 祝祭劇場を使用したフーゴ・フォン・ホーフマンスタールの神秘劇が、マックス・ラインハルトの演出で開催された。翌1925年には、すでにクレメンス・ホルツマイスターによる改修が行われ、現在まで続く祝祭劇場の重要な利用目的、つまりドーム広場で開催される「イェーダーマン」が雨天の場合の上演場所が確保された。同年、祝祭劇場でブルーノ・ワルター、カール・ムック、フランツ・シャルクの指揮による3回のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の公演が行われた。祝祭劇場でのはじめてのオペラ公演は、1927年ベートーヴェンの没後100周年にちなみ、フランツ・シャルク指揮、ウィーン国立歌劇場の出演で「フィデリオ」が上演された。1936年の改修記念として、再び「フィデリオ」がトスカニーニの指揮で上演された。ちなみに両方の公演ともロッテ・レーマンがタイトル・ロール(レオノーレ)を歌った。1939年の改修記念として、カール・ベームの指揮によるリヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」が上演された。
1960年祝祭大劇場の完成とともに、これまでの祝祭劇場は「祝祭小劇場」と改称され、モーツァルトの「コジ・ファン・トゥッテ」やリヒャルト・シュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」などの比較的小規模のオペラの舞台となった。1963年の改修記念として、ロリン・マゼールの指揮によるモーツァルトの「フィガロの結婚」が上演された。この時点でのホールの規模は1,324の座席と60の立ち見席である。
2006年ルクセンブルクの建築家フランソワ・ヴァレンティニにより最も新しい改修が行われ、これまで長年の課題であった、フェルゼンライトシューレと祝祭小劇場の同時使用が可能になった。(従来までは同じロビーを利用していた。)改修記念公演としてニコラウス・アーノンクールの指揮による「フィガロの結婚」が上演された。またモーツァルト生誕250年を記念して、「祝祭小劇場」は「モーツァルトのための劇場」(と改称された。客席は拡張され、現在の座席数は1,495席、立ち見席85である。
なお日本では『モーツァルトの家」とも呼称されるが、「モーツァルトの生家」あるいは「モーツァルトの住居」と紛らわしいため、より的確な名称が望まれる。NHKでは『モーツァルト劇場』と呼んでいる。

JP
EN
DE
IT
FR
ES
RU
RO
座席表